労災隠しと労災認定がされなかった際の対処法

 労災保険は主に職場で怪我をした際に受けられる補償に関する保険ですが、すべての職場において労災が認定されるわけではありません。労災保険への加入は事業者の義務ですが、一方で労災が認定されると事業者の管理不行き届きと見なされる問題があります。社会的なイメージの下落を防ぐため、労災隠しを行う悪質なケースが稀に存在します。労災隠しは被害者から補償を受ける権利を奪う行為であり、あってはならないことです。労災隠しのトラブルに遭わないためには労働者自身が正しい知識を持つことが重要と言えるでしょう。

 また、業務上の災害ではない等の判断により、労災認定を受けられない場合があります。労災認定を受けられなかった場合は、不服申し立てを行うことができます。

 ここでは労災保険の悪質な労災隠しの詳細、不服申し立ての方法についてお伝えします。

労災保険が適用対象について

すべての労働者が対象

 労災保険は労働者災害補償保険が正式名称であり、名前の通り、業務が原因の災害に対する補償です。機械類の操作を誤って切り傷や骨折などの怪我に見舞われるイメージがありますが、他にも汚れた空気を吸い込んで体の具合が悪くなるなど疾病関係のトラブルも補償対象になります。労災保険は正社員に限らず、どのような雇用形態の人でも対象になるのが特徴です。パートやアルバイト、派遣社員や外国人の技能実習生も対象者になります。労災保険は雇用主が責任を負う制度なので、派遣社員の場合は派遣先の職場ではなく、登録した派遣会社に責任が生じる点を注意しなければいけません。

労働災害が適用されないケースについて

 労災保険は労働者が万が一、災害に巻き込まれた際に金銭で補償する制度です。雇用形態を問わずすべての労働者が対象になる一方、会社の役員には労災保険が適用されません。日本の法律では会社の役員は労働者と見なされないためです。

どの会社でもあり得る労災隠しのトラブル

労災隠しが起こる理由

 労災が起きた場合、被害者は速やかに指定の医療機関で治療を受ける必要があります。労災保険を適用してもらうためにも、雇用主は労災が起きたことを届け出る義務がありますが、その届け出を怠って労災隠しを行う悪質なケースがあるのも事実です。雇用主である会社が労災隠しを行うのは社会的なイメージの低下が大きな理由と言えるでしょう。あの会社は労働者に怪我をさせる悪質な所と思われることは大きなイメージ低下に繋がります。また、労働基準監督署の監査対象になるのも労災隠しに至る理由とされている他、労災保険料の増加や手続きに手間がかかることも理由の一部になっています。

会社の規模を問わず起こる可能性がある

 労災隠しは小規模な会社がイメージ低下や保険料の増加を嫌がることで起こすイメージがありますが、実際は会社の規模を問わず、どこでも起こる可能性があると言えるでしょう。会社による労災隠しだけではなく、被害者である労働者自身がトラブルに至ることを恐れて事実を隠すケースは少なくありません。労災を起こしたことが明るみになると職場に居づらくなると考えてしまい、そのまま黙って治療を受けてしまうのです。

労災認定されない場合の対処法

 会社が労災申請に非協力の場合は、被害者自身で申請を行うことも検討しなければなりません。しかし、被害者自身の申請だと、思った通りの労災認定の結果を得られない可能性があります。

 労災申請をしたが認定されず、結果に納得ができない場合、不服申し立てを行うことが可能です。不服申し立ての方法は審査請求、再審査請求、そして取り消し訴訟とも呼ばれる行政訴訟の三種類があります。審査請求は労働基準監督署による労災の決定内容をやりなおしてもらう手続きです。判断が下されてから3か月以内に請求しなければいけませんが、請求を行うことによって専門の審査官が再び審理を行ってくれます。結果、処分の一部あるいは全部が取り消されることがありますが、処分内容に問題がないと判断されれば審査請求が棄却されるので注意が必要です。再審査請求は審査請求の結果に納得できなかった際に行うもので、審査請求の決定から2ヶ月以内に労働保険審査会に対して行います。審査請求と同様、処分の一部あるいは全部の取り消しになるか、再審査請求が棄却される結果になります。

 取り消し訴訟とも呼ばれる行政訴訟は裁判所に対して行政機関の取り消しを求める訴訟です。審査請求が行政を相手にする物であるのに対し、行政訴訟は司法による判断を求めます。行政の決定後6か月以内の訴訟提起が必要なので速やかに手続きを行わなければいけません。

労災に関する権利の主張や不服申し立ては労働者の権利

 労災保険への加入は事業者の義務であり、会社の規模や業務内容を問わず加入しなければいけません。また、すべての労働者が労災に対する補償を受ける権利があります。労災隠しは労働者の権利を損なう行為なのであってはならないことですが、実際は会社のイメージ低下や保険料の増加などを避ける理由で根絶されていないと言えるでしょう。万が一、労災隠しに遭った場合は、労働基準監督署へご相談や、弁護士の無料相談をご利用ください。

 また、労災認定を受けられなかった場合は、適切に補償を受けるためにも速やかに不服申し立てを行うことが大切です。労働基準監督署から決定の通知が届いてから早めに審査請求を行う必要があります。こちらも手続きが煩雑であるため、弁護士への相談をお勧めいたします。業務が原因の怪我や病気に対する補償は労働者の権利であることを忘れてはいけません。

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