労災事故によってもらえる様々な種類の労災年金について解説

 業務中や通勤中に負傷したり病気にかかったりした際には、労働災害として認定を受けることで病気や怪我の程度に応じて様々な補償を受け取ることが可能です。その中でも、特に重篤で後遺障害が残る場合や、長期的な治療が必要な場合には、「労災年金」を受け取ることになります。

 労災年金には様々な種類がありますが、各労災年金ごとに受け取るための条件や受け取れる金額が異なる点に注意が必要です。今回は、様々な種類の労災年金について、概要や受け取るための条件、労災年金の受け取りに際して注意すべき点について見ていきます。

労働災害が原因の怪我や病気の治療が長期に及んだ場合に貰える傷病補償年金

 業務中、あるいは通勤中に負った怪我や病気について、1年6ヶ月を経ても療養が継続中の場合に受け取ることができるのが傷病補償年金です。通常、労災が原因で怪我を負ったり病気に罹患したりした場合には、療養補償給付として治療費に相当する額のうち一部ないし全部を給付金として受け取ったり、労災病院にて治療を無料で受けたりすることができます。この療養補償給付を受け取って行われる治療が1年6ヶ月以上に及んだ場合、障害の等級に応じて傷病補償年金を受け取ることが可能です。受け取れる金額は第3級が給付基礎日額の245日分、第2級が給付基礎日額の277日分、第1級が給付基礎日額の313日分となっています。

 なお、傷病補償年金は上記の年金に加えて、特別支給金として傷病特別支給金と傷病特別年金も支払われます。ただし傷病特別年金はボーナス特別支給金に分類されるため、労災保険の特別加入者に対しては支給対象外となるため注意しましょう。傷病特別支給金と傷病特別年金も、障害の等級に応じて受け取れる金額は異なります。

労災で受けた怪我や病気によって後遺障害が残ってしまった場合に貰える障害補償年金

 労災が原因となる病気や怪我について、療養が終わっても後遺症が残ってしまった場合に貰えるのが障害補償年金です。ただし、障害補償年金は「障害補償給付」という補償の一部であり、障害の程度に応じて決められる障害等級のうち、第1級から第7級に該当する人にのみ支給されるものです。障害等級が第8級から第14級と認定された人は、障害補償年金ではなく障害補償一時金が支給されるため注意しましょう。障害補償年金で支給される額は、給付基礎日額の131日分~313日分と定められており、等級に応じて支給額は変わります。また、障害補償給付においては障害補償年金に加えて障害特別一時金、及び障害特別年金も併せて給付されます。

 障害補償年金の特筆すべき事項として、障害補償年金前払一時金と障害補償年金差額一時金という2つの制度の存在が挙げられます。障害補償年金前払一時金は、障害補償年金の受給資格がある人について、一時的にまとまった資金が必要となる場合に1度だけ前払いで年金を受け取ることができる制度です。一方、障害補償年金差額一時金は、障害補償年金の受給資格者が死亡したケースにおいて適用される制度で、すでに受け取り済みの障害補償年金と障害補償前払一時金の合計額が等級ごとに定められた金額以下の場合、その差額分の金額が受給資格者の遺族に対して支給されます。

労災によって死亡してしまった場合に遺族が貰える遺族補償年金

 労災の怪我や病気によって労働者が死亡してしまった場合、遺族が受け取ることができるのが遺族補償年金です。ただし、遺族補償年金を受給できる遺族は一定の条件を満たす必要があり、基本的に「労災に被災した労働者が死亡した当時、その労働者の生計によって生活を維持していた人」となります。そして、受給資格者には優先順位が定められていて、その中でも最先順位を満たす人だけが実際に遺族補償年金を受給可能となるのです。遺族全員に対して支給されるものではない、という点には注意しましょう。

 ちなみに、最先順位となっている人がその要件を満たさなくなった場合は、次の順位の人に受給権が移動します。これは「転給」と呼ばれるもので、受給権者がその権利を失っても受給資格者がいなくなるまで支給が続くという労災保険特有の制度です。また、そもそも遺族補償年金の受給条件を満たす遺族がいない場合は、特定の関係にある遺族に「遺族補償一時金」が支給されます。受給資格者に優先順位が定められていること、最先順位の人にのみ支給される点は遺族補償年金と同様です。

労災年金の支給に際して頭に入れておきたい注意点

 労災年金は、他の労災補償と一緒に受け取れるものと受け取れないものが存在するため注意が必要です。例えば、傷病補償年金は療養補償給付と一緒に受け取ることが可能ですが、休業補償給付と一緒に受け取ることはできません。これは、休業補償給付が療養のために休業を余儀なくされた際の生計をサポートするための給付であり、年金の支給開始が決定された場合は生計の維持を年金で行うことができるようになるとみなされるためです。傷病補償年金の支給開始が決まった場合は、休業が続いている場合でも休業補償給付の支給がその時点で打ち切られるため注意しましょう。

 労災年金に限った話ではありませんが、労災の補償には申請の時効が定められています。時効を過ぎてから補償の申請を行っても補償の支給は行われないため、十分注意しましょう。また、時効は各補償ごとに異なるため、自分が申請したい労災補償の時効がいつになるのかを事前にしっかりと調べて、速やかに申請することをおすすめします。

 障害補償年金には時効がなく、傷害補償年金・遺族補償年金は5年です。

労災年金は労災被災後の生活を長期に渡って支える重要な存在

 労災年金は、労災によって受けた傷病の影響が長期、あるいは半永久的に続く場合、その後の生活を支えるための重要な制度です。病気や怪我の治療が長期に渡った場合や、後遺症が残ってしまった場合、そして労災によってそれまで自分の生活を支えてくれていた家族を失ってしまった場合には、労災年金の力を頼ってこれからの生活を維持していくことになるでしょう。労災にあった後の生活をしっかりと維持していくためにも、労災年金に限らず労災の各種補償に関する申請はできるだけ早めに行い、受け取るべき補償を確実に受け取るようにすることが重要です。

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