ご注意!慰謝料は、労災保険からはもらえません!慰謝料算定方法について

 通勤中や業務中の事故によるケガや病気は、労災により保険金を受け取ることができます。しかし労災は規定に沿った金額しか支給しないため、ケガや病気で後遺障害が残った場合や、以前と同じように働けなくなった精神的な苦痛などがあった場合は、労働者本人はもちろん家族にとっても大きな影響があります。その場合、事故の原因が会社側にあるのならば、精神的苦痛を受けたことに対する損害賠償金として会社に対し慰謝料を請求することができます。ここでは一般的な慰謝料算定方法と、「後遺障害慰謝料算定方法」「死亡慰謝料算定方法」をご紹介します。

慰謝料算定方法

 事故原因が会社の安全配慮義務違反と労災が認めた場合、慰謝料を請求できます。入院・通院の苦痛に対する慰謝料が「傷害慰謝料(入通院慰謝料)」です。精神的苦痛の数値化は難しく、慰謝料は重傷・軽傷別に入院・通院期間を基にした基準があります。

弁護士基準とは

 過去の判例を基に設定された慰謝料の算定基準を「弁護士基準」といいます。算定表は重傷用と軽傷用の2種類です。各算定基準については、次を参考にしてください。

・重傷用(1カ月の入院をした後に通院する場合)

通院期間慰謝料(円)
1月77万
2月98万
3月115万
4月130万
5月141万
6月149万

・軽傷用(1カ月の入院をした後に通院する場合)

通院期間慰謝料(円)
1月52万
2月69万
3月83万
4月95万
5月105万
6月113万

 例えば、重傷で入院1カ月・通院6カ月の場合は149万円、むち打ちなどの軽傷で入院1カ月・通院2カ月の場合は69万円です。

後遺障害慰謝料算定方法

 後遺障害等級認定された場合は、失われた将来的な利益となる「逸失利益」、後遺障害を負ったことに対する慰謝料となる「後遺障害慰謝料」を会社に請求できます。算定方法と用語の意味は、次の通りです。

 「後遺障害逸失利益=基礎年収×労働能力喪失率×ライプニッツ係数」

 ・基礎年収:事故前年度の年収額
 ・労働能力喪失率:後遺障害の等級別による労働力喪失率
 ・就労可能年数:労働力の喪失期間
 ・ライプニッツ係数:慰謝料の運用で得た利息を想定し、それを控除した係数

 ※国土交通省が掲載している労働能力喪失率表、就労可能年数・ライプニッツ係数表を参照

 例)年収600万円、50歳の世帯主労働者が後遺障害により寝たきりの場合
 600万円×100%×13.166=後遺障害慰謝料7,899万6,000円

 弁護士基準における後遺障害慰謝料の金額の目安は、次の通りです。

障害等級慰謝料の金額
1級2,800万円程度
2級2,370万円程度
3級1,990万円程度
4級1,670万円程度
5級1,400万円程度
6級1,180万円程度
7級1,000万円程度
8級830万円程度
9級690万円程度
10級550万円程度
11級420万円程度
12級290万円程度
13級180万円程度
14級110万円程度

死亡慰謝料算定方法

 死亡慰謝料は、労働者が労災で死亡した場合に遺族に支払われる慰謝料で、以下のように算定します。

 「死亡慰謝料=基礎年収×(1-生活費控除率※)×ライプニッツ係数」
 ※生活費控除率=故人が将来的に得られた収入-本来かかったはずの生活費

被害者生活費控除率
一家の支柱(被扶養者1人)40%
一家の支柱(被扶養者2人以上)30%
主婦・独身・幼児の女性30%
独身・幼児の男性50%

 例)年収600万円、50歳男性、扶養親族(妻と子供2人)の場合
 600万円×(1-0.3)×13.166=死亡慰謝料5,529万7,200円

 弁護士基準による死亡慰謝料は、次の通りです。

被害者慰謝料
一家の支柱2,800万円
母親・配偶者2,500万円
独身の男女2,000万~2,500万円
子供・幼児2,000万~2,500万円

慰謝料請求後も気持ちよく会社で働くためには

 会社に対して慰謝料を請求した場合は、例え支払われたとしても、その後働きにくくなることも少なくありません。請求後も会社との良好な関係を保ち気持ちよく働くには、会社側との十分な話し合いが必要です。そのためには弁護士に相談することがおすすめで、弁護士が介入することで不当な請求ではないことを主張しやすくなります。慰謝料の請求は訴訟に発展するケースが多いですが、訴訟となる前に十分な話し合いの場を設けることが大切です。

慰謝料を請求する前に、どの程度請求できるかを理解しよう

 勤務中の事故でケガや病気をした場合、肉体的な苦痛に加えて精神的な苦痛も同時に発生します。そして労災認定を受けて補償を受けたとしても、労災は慰謝料まで支払ってくれるわけではありません。泣き寝入りをせずにしっかりと主張することは労働者の権利でもあるため、会社側に落ち度がある可能性が高い場合は正々堂々と慰謝料を請求しましょう。ただし、慰謝料に関しては法律も介在しているため、慰謝料算定方法・後遺障害慰謝料算定方法・死亡慰謝料算定方法を理解するとともに弁護士に依頼するのがおすすめです。

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