労災保険給付・損害賠償請求について遺族が知るべきこと
労働災害によってご家族の方がお亡くなりになってしまった場合、遺族は労災保険の中から様々な補償を受けることができます。労災保険の給付以外にも、労災事故発生の原因となった会社や第三者に対して、慰謝料・逸失利益などの請求ができる可能性がありますが、知らないという方も多いようです。本記事では労災保険がカバーしている補償内容について解説していきます。細かな条件によってもらえる額や期間が変わってしまうので、しっかりと学習しておいたほうがいいでしょう。
目次
死亡するまでの怪我の損害
労働災害が原因で亡くなったことが明らかな場合、遺族は労災保険から遺族補償および葬儀費を受け取ることが可能です。
遺族補償には遺族年金と遺族補償給付金の2つが存在します。遺族年金は被災労働者が死亡当時、その収入によって生計を維持していた場合、残された家族に対して給付されるものです。遺族補償給付金とは、被災労働者の家族に対して支給される給付金のことを指します。給付の条件は、死亡した労働者に遺族年金を受ける遺族がいない場合・遺族年金の基礎給付額が日額の1000日分に達しない場合の2つです。
葬儀費
葬儀費も労災保険の1つで、業務災害によって労働者が死亡した場合、その葬祭を行ったものに対して支払われるお金です。葬祭を行った人なら、遺族でなくても請求できます。個人が通勤災害で亡くなった場合は、葬祭給付と呼ばれます。葬儀費を受け取るためには、所轄の労働基準監督署長に請求することが必要です。請求書の他に医師による死亡診断書もしくは死体検案書、被災労働者の死亡事実と死亡年月日を証明できる書類を添えてください。葬儀費の支給額は、315000円に給付基礎日額の30日分を足した額になります。
死亡慰謝料
慰謝料は、労災保険に含まれていません。そのため、労災保険とは別に請求する必要があります。
慰謝料請求をするには証拠が必要
請求するためには、会社や第三者が原因であったことを証明しなければなりません。例えば、会社への請求をするには会社側が安全配慮義務違反をしていたことの証明が必要です。一方、第三者に対する請求は相手側の故意・過失の証明とともに、不法行為であったことを理由に損害賠償請求を行います。
労災事故によって死亡した場合は死亡慰謝料を
労災事故が原因で従業員が死亡したケースでは、家族が会社に対して慰謝料を請求できます。この慰謝料を「死亡慰謝料」といい、目安は死亡したのが一家の支柱だった場合で約2,800万円、そうではない場合で約2,000万~2,500万円です。もし、死亡原因の一部が従業員側の過失だった場合は、その過失に応じて死亡慰謝料の減額が行われます(過失相殺と言います)。遺族には、労災から遺族補償年金などが支払われますが、死亡慰謝料は労災からの支給分とは別に支払われなければなりません。
死亡逸失利益
労災事故による死亡逸失利益
労災事故で後遺障害を負った場合は、事故前と比較して労働能力が損なわれ、稼働収入の減少を余儀なくされることがあります。被災者が死亡された場合も同様に、将来的な収入を失うことになりますので、本来受け取ることができたであろう収入について請求することができます。これを「死亡逸失利益」といい、会社側の責任が明確に認められるケースでは逸失利益を損害賠償として請求することが可能です。
死亡逸失利益からは生活費が控除され、一家の柱が死亡した場合の控除率は被扶養者が1名のケースでは40%、2名以上の場合で30%です。死亡逸失利益は、「1年あたりの基礎収入×(1-生活費控除率)×ライプニッツ係数」で算出します。ライプニッツ係数とは、中間利息の控除に必要な係数です。
ライプニッツ係数は、就労可能年数によって決められています。例えば、就労可能年数が20年の場合は14.8775です。基礎収入が500万円、生活費控除率が30%、就労可能年数が20年の場合の死亡逸失利益は、5,207万1,250円(500万円×(1-0.3)×14.8775)となります。
会社任せにせず、自分でも情報収集すること
労災保険は労働業務などに就いている労働者が怪我を負った場合などに、労働者やその家族の生活を守るための公的保険制度のことを指します。労災がおりるのは、発生した事故の原因が会社側にある場合です。因果関係を証明することができるなら、通勤時や出張中に起こったことでも労働災害と認定してもらえます。労働災害により被災者が亡くなってしまった場合には、遺族補償と葬儀費を受け取れるだけでなく、慰謝料や逸失利益の請求に向けて、弁護士に相談することをお勧めします。
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