後遺障害を認めてもらうには?後遺障害申請方法と等級ごとの補償金額を解説

 労働災害に遭遇し、治療を続けても身体に何らかの不具合が残ってしまう場合があります。これを「後遺障害」と言います。「後遺障害」と認定され、補償金を受け取るためには所定の手続きが必要です。まず後遺障害診断書を医師に作成してもらいます。そして所轄の労働基準監督署に「後遺障害」の申請をします。初めて申請する方にとっては混乱することも多いでしょう。そこで今回はこれら一連の流れについて説明していきます。また「後遺障害」は障害の種類・重さに応じて等級が定められ、等級に相応して受け取る補償金額が変化します。等級ごとの補償金額も解説するので、どうぞ理解を深めてください。

後遺障害診断書の作成について

 労働災害で怪我や病気を負った場合、その改善を行うための治療期間中は労災保険の「休業補償給付」や「療養補償給付」の対象です。医師が治療を続けてもこれ以上の改善が見込めないと診断することにより、「休業補償給付」や「療養補償給付」の対象から外れます。これを「症状固定」と言います。症状固定の診断がなされ、身体に後遺障害が残っている場合には、補償金受領のため改めて後遺障害の申請が必要です。後遺障害の申請の時効は5年となります。

 申請には医師が作成する後遺障害診断書が必須です。後遺障害診断書は労災が指定する書式でなければいけません。病院があらかじめ備えていない場合には労災のホームページからダウンロードするか労働基準監督署で入手しましょう。診断書の発行にかかる費用は、労災保険から4000円まで支給され、それ以上は自己負担です。また労働災害と後遺障害の因果関係を証明するために、レントゲン写真やCT検査の結果なども用意しておきましょう。

後遺障害申請の方法について

 後遺障害診断書の準備が終わったら、次に労働基準監督署に提出する障害給付支給請求書を作成します。請求書の書式も労災のホームページや労働基準監督署で入手できます。この請求書には会社の証明が必要です。会社の労災担当者に相談して、労災の証明を貰いましょう。万が一会社が非協力的だった場合には、証明が貰えない特段の事情を記載した文書を添付する必要があります。文書作成の際には労働基準監督署に相談するといいでしょう。

 準備が整いましたら、後遺障害診断書と請求書を労働基準監督署に提出します。病院からレントゲン写真などを入手していた場合は一緒に添付してください。書類を提出後、労働基準監督署からの連絡により日時が指定され、調査員による審査(面談)が行われます。審査では労働災害の内容や、診断書やレントゲン写真だけでは分からない具体的な症状が聞かれます。聞かれたことに慌てずに丁寧に答えましょう。受け答えに自信がない場合には病院などからアドバイスを受けておきましょう。

 審査からだいたい3ヶ月後くらいに、後遺障害の認定結果の通知書が届きます。障害等級が認定され、指定の口座に補償金額が振り込まれます。不認定や障害等級の認定に不服な場合には審査請求が可能です。認定結果の通知から3ヶ月以内に労働者災害補償保険審査官に申請します。

等級ごとの補償金額について

 後遺障害は症状によって障害等級1級から障害等級14級まで区分されています。障害等級1級(両眼が失明など)が最も重い症状で、障害等級14級(まつげがはげるなど)が最も軽い症状です。厚生労働省が発表している障害等級表にその目安が示されています。障害等級により補償金額が異なり、障害等級1級から7級までは年金方式障害等級8級から14級までは一時金方式での受領です。障害補償年金(一時金)は労災が発生した直前3ヶ月間の賃金総額を日数で割ったものを「給付基礎日額」として算出します。障害特別年金(一時金)も同様に、1年間で貰う特別給与(ボーナス)の総額を365日で割ったものを「算定基礎日額」として算出します。それに加えて障害等級に応じて障害特別支給金が受領可能です。障害等級ごとの補償金額は以下の通りです。

 障害等級│障害補償年金/障害特別支給金/障害特別年金
 1級│給付基礎日額の313日分/342万円/算定基礎日額の313日分
 2級│給付基礎日額の277日分/320万円/算定基礎日額の277日分
 3級│給付基礎日額の245日分/300万円/算定基礎日額の245日分
 4級│給付基礎日額の213日分/264万円/算定基礎日額の213日分
 5級│給付基礎日額の184日分/225万円/算定基礎日額の184日分
 6級│給付基礎日額の156日分/192万円/算定基礎日額の156日分
 7級│給付基礎日額の131日分/159万円/算定基礎日額の131日分

 障害等級│障害補償一時金/障害特別支給金/障害特別一時金
 8級│給付基礎日額の503日分/65万円/算定基礎日額の503日分
 9級│給付基礎日額の391日分/50万円/算定基礎日額の391日分
 10級│給付基礎日額の302日分/39万円/算定基礎日額の302日分
 11級│給付基礎日額の223日分/29万円/算定基礎日額の223日分
 12級│給付基礎日額の156日分/20万円/算定基礎日額の156日分
 13級│給付基礎日額の101日分/14万円/算定基礎日額の101日分
 14級│給付基礎日額の56日分/8万円/算定基礎日額の56日分

周囲と相談しながら手続きを進めましょう

 以上が後遺障害申請の一連の流れです。慎重を期してひとつひとつ丁寧に手続きを進めましょう。会社によっては申請を代理でしてくれる場合もあります。申請をする前に会社の労災担当者と面談してみましょう。また等級が一つでも変わることで受領する補償金額の差はかなり大きくなります。等級認定に不満がある場合には審査請求の申立てもできますが、認定を覆すのは時間や労力もかかり容易ではありません。したがって満足する補償金額を受け取るためには、後遺障害診断書の作成段階から入念に準備する必要があります。障害等級の認定に不安がある場合には適宜弁護士などの専門家に相談することを推奨します。

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